神のお告げで解雇!?

労働トラブル相談日誌 この給料、契約と違うじゃん!

新日本出版社

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 静岡労働センターの所長が、自身が解決した労働相談の事例を物語的にまとめ直して紹介した本。 全部で18話からなるその一つ一つが教訓に満ちている。

 衝撃的なのは第1話の『神のお告げで首になりました』って事例。 社長が新興宗教にのめりこんでいて、教祖様のお告げで首にされてしまったって相談なんだけど、相談に来た労働者も、 自分に祟りがあるって信じこまされて神棚に毎日手を合わせていたり、辞表を提出して20日もたってから相談に来ていたり (辞表提出から14日で雇用契約は終了するって民法規定があるんだな)、不当解雇で争うんじゃなくて退職金よこせっていう、 チョッと主張が弱かったりと、ツッコミどころタップリ。
 でも相談員の浅井賢司さんによって、解雇予告手当ても、200万以上の退職金も、 会社都合の離職票を出させることも、見事に成功する。

 どのケースも短くまとめられていて読みやすい。ただ、最後に経営者をギャフンと言わせる部分を省略しているケースも多いので、その点では 「読み物」としての面白さが損なわれているのが残念なんだけど、この本の狙いが、労働相談の個別のケースから 「労働法制のどの条文が活用できるか」「労働行政をどのように活用できるか」の解説につなげることを目的にしているのだから、 そこはガマンしよう。

 一日で読めてしまう「軽?い」本で、1500円はチョッと高いかな?って気もしたんだけど、うさんくさい「スピリッチュアル系」の本を読むよりよっぽど人生の役に立つことは間違いない。

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