IT企業の労働者は生産的労働者?―web2.0についてマルクスさんに聞いて見た・・・その7

 

その7:「IT企業の労働者は生産的労働者?
*以下の文書はその6の続きです

目次:
第1回「マルクスさんにインタビューしてみよう」・・・記念すべき第1回、ネタフリのみ
第2回「そもそもマルクス経済学って?」・・労働価値説から剰余価値まで
第3回「そもそもマルクス経済学って?」・・・剰余価値から利潤率
第4回「自己増殖する資本」・・・資本の回転。利潤増大のさまざまな手法
第5回「ネット企業が『生産』する『商品』は何か?」・・・生産的労働と不生産的労働
第6回 「『情報』は『商品』か?」・・・労働価値説ふたたび

*連載も第7回めに突入。なるべくわかりやすさ重視で書くつもりですが、わかりにくいところはどんどん突っ込みを入れてやってください。

 

  さて、今日は頭からギャグ抜きで行きます。前回は「情報」の「商品性」についての解明でした。
 次に「楽天」や「ヤフー」といったeコマースと呼ばれるビジネス手法についても、マルクス経済学的に分析を加えて下さい。
 (ちぇ!最初からまじめな話かよ、つまんねーの)
 わかりました。
 まず前提として、資本家は利潤を最大化するためにさまざまな努力を行います、とくに、 生産能力の向上が社会全体の実需要を上回るまでに向上すると、生産能力の向上よりも、競合他社との関係で 「よりブランド力を強化する(広告・宣伝)」「より身近に手に入りやすくする(販売チャネルの拡大や多様化・ 輸送手段や小売店舗網の拡大)」といったことに、人的資源を投入せざるを得なくなる。ここまではいいですか?

 確かに。高度経済成長期に広大な敷地や大人数の現業労働者を抱えていた製造業が、どんどんと、 工場を閉鎖し従業員数を減らしていますもんね。生産能力そのものは減るどころか増えているというのに、、、
 そうです。しかし飽くなき利潤拡大を追求する「資本の魂」は、 販売諸経費に関わる支出についても、同じ効果が得られるなら「より安く」を追求するわけです。
 

 第4回の説明でいうと、
 5、販売諸経費を圧縮する
(前)■■■■■■■■□□□□  × 100台
(後)■■■■■■■■□□□□  × 100台
 という方法ですね。

原材料、■労賃、販売所経費、□利潤、横軸の長さが、商品の価値)

 そういうこと。
 楽天ショッピングやヤフーオークションといったe?コマースと呼ばれる企業は、仲介業者や実店舗、 営業担当社員の存在を不用にすることで、そのことを実現させている。

 中抜きこそ、インターネットビジネスの最大の収入源!
 そのことを通じて、10台の車を、100台のテレビを、10tの米を、、、生産するための労働時間だけでなく、 消費者の手元に届けて貨幣に交換するための労働時間も短くしようとするわけです。
 もちろん、それで時短が進むわけじゃなくて、 労働者の首切りなど利潤を最大化する手段として行われるわけですが。
 しかし、それじゃせっかく生産能力が向上したり、 効率よく消費者の手元に商品が届くようになったとしても、肝心の消費者=労働者の消費力が伸びないわけだから、 ますます物が売れなくなりますよね、、、

 そういうこと。そこで資本家は商品を売りつける相手を必死で探すわけです。その結果、、、
 「外国に輸出する」
 「政府に無駄遣いをさせる」
 「資本家向けのスーパー浪費型商品が登場する」

 といった現象が起きてくるわけです。
 日本で言えば、六本木ヒルズとかで一本何十万もするワインやシャンパンを消費する「ヒルズ族=超富裕層」 が現れる一方でちまたにホームレスがあふれる、対米貿易黒字が毎年累積されて日本政府・ 日本企業等が大量にアメリカ国債を購入してくれることでアメリカの戦争遂行の重要な資金源になる、 企業や超富裕層のもつ金融資産が何百兆円と膨れあがる一方で日本国政府は700兆円もの国債発行残高に苦しむ、 、、しかし、これらはまだかわいい方です。なんと言っても最大の浪費は・・・なんだかわかります?

!「戦争」ですね
 そういうこと・・・おっと、脇道にそれてしまいましたね。
 なるほど。それじゃ話を戻して。
 それにしても「営業」や「広告・販売」といった仕事って、ようするに『売り手』と『買い手』 のステキな出会いの機会を増大させるための仕事ですよね?
 そうです。楽天やヤフーはその「売り手」と「買い手」を、サーバーで動くプログラムによって出会わせる。
 出会い系サイトが「男性」と「女性」をサーバーで動くプログラムによって出会わせるようにね。

 何でマルクスさんが出会い系サイトなんか知ってるんですか!

 いや、、、別に、、、使ったことはないけど、、、

 
  当たり前だろヴォケ!だいいちあんた幽霊だろが? (byネゴシックス風)

 それにしても、「人間の手による『営業』や『販売』といった労働」が、「労働者」の手から 「コンピューター上で動くプログラム」に置き換わることに、どうしても違和感というか、恐怖感を感じるんですが、、、

 確かに。一時的には、そのことによって過剰になった労働者が失業したり、 労働者にとって不都合なことが様々に起きてくるでしょうネ。
 しかしそのような、生産能力や、輸送・販売能力の向上が一時的に労働者階級の窮状を深刻にすることは、 私の生きていた時代にもあったことです。
 と言いますと?

 例えば、人間の労働を機械に置き換えることで、 雇用する労働者を減らすということは私の生きていた時代のヨーロッパでもごく普通にありました。
 それに対して、ラッダイト運動といって、 工場の労働者が機械を破壊する暴動を起こした事もありましたが、これは社会主義共産主義社会を目指す私から言わせれば、 実に馬鹿馬鹿しいなんの成果も解決も生まなかった運動であったことは明らかです。

 なるほど。

 それから「販売」「営業」に関わる労働者を「機械」である「コンピューター上で動くプログラム」 に置き換えると言っても、その「プログラム」そのものは人間の労働によって作られる訳ですよね?
 確かに。
 人間の行う「労働」以外からは、あらたな「価値」が創造されることは無いというマルクス経済学の「価値法則」「労働価値説」は、 21世紀においてもドッコイ生きている、と、こう言いたいわけですなwwww


 そういうことwwww
 問題は、増大した生産緒力(輸送や販売、営業に関わる能力も含む) の恩恵が利潤の増大を目指して資本が自己増殖することのみに費やされて、 労働者の生活向上につながらないという資本主義社会の仕組みが問題なのであって、 労働者が社会の主人公になる「社会主義共産主義」の社会では、IT企業の作り上げた「ネット・インフラ」も、 労働者の生活向上のために「活用すべき物質的諸条件」の一つというわけです。


 なるほど。
 それにしても、前回の説明で言うと「不生産的」な「営業」や「小売り」といった労働者を、 サーバー上で動くプログラムに置き換えるわけですよね?
 プログラマーのおこなう「労働」は「生産的労働」という説明が前々回にありました。それじゃあ楽天」や「ヤフー」といった企業で働く(あるいは下請けで仕事をする) プログラマー何を「生産」しているんですか?

 簡単ですよ。「サーバー上のデータベース (と、それを動かすプログラム)」それが、生産される「商品」 そのものです。


 なんと、大胆な言い切り!
 
しかし、言われてみれば確かにその通り。
 「ユーザーが使いたくなるような魅力的なポータルサイトを構築する」というふうに説明されると、なんだか「虚業」 っぽく見えますが、ちゃんとどこかに「実物」が存在する「サーバー(とその中のデジタルデータ)」こそが「労働」によって 「生産」された「交換価値」を持つ「商品」であると。


 そういうこと。
 ただ、その「データベース」を作っても、それを直接「貨幣」と交換せずに、その「データベース」を自分で消費して「利用料」 や「広告費・販売手数料」といった名目で、ちょっとづつ「貨幣」と交換するという形で「利潤」を得ているのが、 搾取を見えにくくさせているわけですけど。 

 ・・・っと、、イイとこまで説明したと思ったら、もう文字制限ですね。 続きは次回ということで、、、
 やっぱりこのオチか!


その8へ続く

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