東山の 過去・現在・未来

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いいまちネット東山・講演会

 今日は、東山区の「やすらぎふれあい館」で、いいまちネット東山の講演会があり、参加しました。テーマは「東山の 過去・現在・未来」講師は岡田知弘・京都大学教授です。

 岡田先生は、経済振興といえば「インバウンド」「企業誘致」で「いかにしてよその地域から活力を取り込むのか」という議論になりがちな地方自治体の政策にたいして、そうじゃない、地域でお金が循環する仕組みをつくることが、首都圏と地方の経済格差拡大を食い止めるカギになるんだという論を掲げて、地域経済分析でも非常に示唆に富むお話をいつも聞かせていただけます。

 そんな岡田先生が、東山区の現状について少子化・高齢化・人口減少が市内で最大、さらに耐震不足の古い木造住宅比率もダントツで高く、災害が連続する「大災害の時代」に入った日本の中で最も課題を抱えているにもかかわらず、学校の統廃合や、外国人観光客の過剰な呼び込みによって、逆行する政策が進んでいることを指摘。

 さらに、観光・宿泊産業が、法人税収の少なさや雇用の質(非正規雇用中心)、東京資本や外国資本が中心で利益が外部に流出するなど、地域経済にとっては、お金が地域に循環しない構造で、地方自治体と住民には負担ばかりがのしかかって、メリットが少ないことを、具体的な統計数字をたくさん紹介しながら解き明かしていただきました。

 とくに驚いたのは、京都市の法人市民税の業種別比率で、料理・飲食店の比率がたったの1・6%(2013年)しかないという数字と、京都に本社を置く大企業の外国人持株比率の高さ(任天堂49.7%、オムロン47.5%・・・)

 京都市長は「観光消費額1兆円突破、目標を前倒しで達成」とはしゃいでいるが、じゃあその宿泊業者が京都市の財政にどれだけ納税額で貢献しているのか?と。雇用の面で、どれだけ正社員を雇っているのか?と。

 候補者として回っていると、観光客向けのお店にもあいさつしにいき、従業員とお話しをします。そこでうかがった「東山区は家賃が高すぎて、この仕事の給料じゃ住めない」という、若いアルバイト労働者の証言とぴったり符号します。

 岡田先生に言わせれば「観光客を増やせば、地域経済も地方財政も潤う」という「神話」は崩壊していると。まさに「我が意を得たり」という気分でした。