東山区の人口減少トレンドを止める-2

 写真は、東山区・有済学区のとある路地(ろうじ)の入口です。

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 東山区にはこういう路地がいっぱいあって、その奥に長屋で隣の家と壁を共有するタイプの住宅が5軒~多いところは20軒とかあって、袋小路になっているその路地の中にコミュニティーがあるわけです。

 生活音とかつつぬけですし、料理してたらニオイですぐに分かる。おたがいに離れて暮らす親戚の顔まで覚えてるので、知らん人が入ってきたらすぐにわかるので、そういう時はすぐに声をかけあうので防犯もバッチリです。火事でも起こしたらすぐに延焼しかねないので、火の用心には細心の注意を払って生活してはります。

 こういう、おたがいに本音をぶつけちゃうと、すぐにしんどくなっちゃうぐらいの距離の近さが、回りくどくてわかりにくいとDisられがちな、京都人気質につながってるんだと思います。しかし、それこそ京都、この路地奥の住まいでの生活の中から、観光客を引きつける京都の奥深い伝統文化が生まれるわけです。

 ところがこの路地奥がいま、民泊・ゲストハウスへの転用がドンドン進んで、とても落ち着いて生活ができない、人が住めない状況になってます。

 とあるお店の店主にご挨拶にいったら「最近は路地の奥がどんどん民泊・ゲストハウスになって、年寄りが出てったあとの空き家もだいぶ放置されてて、昔のバブルの頃の地上げの名残のコインパーキングやらいっぱいで、人口は減る一方や」「この町内会はなあ、昔は表13軒・裏100軒と言われてたんや、今は町内会そのものが15軒しかあらへん。」と、かなり怒ってました。

 そのお隣のご町内も同じような状況で、ご高齢のご婦人が「うちらの子どもが小学生の時は、この町内会だけで小学生が30人もいてんで、今ゼロやがな。地蔵盆もでけへん」と。

 路地の奥の人口がゼロになれば、晴れてその路地をまるごと取り壊して、中規模のマンションやホテルなどが建てられる広さの、まとまった土地が確保できます。そうなったら大儲けできるーそういう誘惑が地主さんに、空き家になったあとの住宅を放置させることになります。そうやって、京都らしさの象徴のような路地奥を破壊して、どこにでもあるような街になってしまったら、観光地としての寿命も尽きてしまいます。

 この路地奥の再生こそ、東山区で人口減少を止めるカギだと思います。

 厳しい高さ制限と景観規制、ホテル・民泊の進出制限、空き家放置へのペナルティーと、改修工事への助成、子育て世代が移り住んだ場合の家賃補助制度の創設などなどを組み合わせて、「裏百軒」「この町内会だけで小学生30人」だった時代の人口を取り戻すことは・・・今ならまだ可能です。ただ、ギリギリのタイミングに来ていることは間違いありません。

 カネ儲け優先・観光客呼び込み一辺倒の政治から、住民の暮らしを守る政治への転換、これが東山区の人口減少トレンドを止めるために必要です。