コスタリカの奇跡

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 今日は、東山区で、映画「コスタリカの奇跡」の上映会が開催されたので、鑑賞してきました。

 公式サイトの説明文を引用すれば

1948年に軍隊を廃止。軍事予算を社会福祉に充て、国民の幸福度を最大化する道を選んだコスタリカの奇跡に迫ったドキュメンタリー。

 ということで、作成したのはアメリカの映画会社で、アメリカ人に向けて「軍事力に頼らない第3の道があることを提案する」といった内容なのですが、見に行って本当に良かったです。

 記念にDVDを買おうか、今、真剣に迷ってます。

  中南米に、軍隊を廃止した積極的平和主義のコスタリカという国があることは知っていましたが、どういう経緯で廃止したのかということは知らなかったので、今回この映画で知れて良かったです。

 中南米の国っていうと、とにかく貧しくて、内戦・紛争ばかりしているイメージでしたが、そのイメージは半分正しくて、軍隊があるがばかりに、せっかく民衆が選挙で親米政権を倒しても、すぐに軍隊がクーデターを起こして民衆を弾圧する。もちろん背後には、CIAからの工作がある。または軍隊をある程度掌握した反米政権が成立していても、CIAの工作を受けた親米の武装勢力との内戦のために、軍も国民も消耗させられる。それが、コスタリカの周辺の国々の実態です。

 で、コスタリカはそんなことを繰り返すぐらいなら、最初から「軍を持たない」「国際法を頼って話し合いで解決する」「軍事費に使ってた予算を、主に教育に使う」と宣言し、アメリカを相手に反米でもなく親米とも言えない絶妙のバランスで、軍事力に頼らずに外交力で平和の危機を突破していく道を選択したわけです。

 いまでもその路線は進んでいて、コスタリカの公的教育費支出のGDP比は、7.43%で世界8位、義務教育はもちろん、大学も授業料無料です。(ちなみに日本は3.47%で世界114位です。)

公的教育費の対GDP比率 国際比較 – Global Note

 そんなコスタリカですが、隣国からの領土侵犯も受けてます。国境線の川の中洲で、「グーグルマップによれば、わが国の領土だ」などというくだらない理由で挑発的に侵略したそうです。しかし、コスタリカは実力組織でこれに対抗するのではなく、国際司法裁判所を通じて、ただの1人の犠牲もださず、1発の銃弾も使うこと無く、ちゃんと領土を取り戻してます。しかも短期間に。

 これがもし軍隊があったらきっと反撃せざるを得なくなり、イラクに侵攻されたクウェートみたいにアメリカに頼って多大な犠牲を出しながら、駐留軍の負担も負って、しかも解決に時間がかかってしまうっていうパターンだったと思います。本当に軍隊を持たないことが最高の防衛手段になってることがわかります。

 また、そんなコスタリカの政策・指導者を、民主的な選挙を通じて国民が主体的に選んでいるというところに感動しました。とにかく、国民世論が「軍隊を持たない」「米軍基地は受け入れない」というところに圧倒的な支持を与えているからこそ、こういう政治が実現している。そのことがよくわかりました。

 知れば知るほど、軍隊を持たないことはメリットばかりじゃないかと思いましたが、同時に、これを日本で、同じような政治を実現するのはまだまだ遠い道のりだろうとも感じました。それでもきっと、同じような道を進む国は増えていかざるを得ないと予感させられます。軍隊を持ったとしても、大した規模の力にならない小国にとって、これはもっとも合理的な選択肢だからです。そして、そのうち日本もその流れに先進国として初めて合流する -「9条」を持つ国として- そんな希望ある未来をリアルに感じさせてもらいました。