京都で宿泊施設の淘汰が始まった

 今日は新聞休刊日。ということで昨日・元旦の京都新聞記事から興味深い記事をご紹介。

民泊新法施行から半年、京都で初廃業 日数制限で経営難 : 京都新聞

 この記事は、分かる人には分かるけど、背景を知らない人には「?」というもの。だって、すでに京都では昨日まで営業していた宿泊施設がいつの間にか廃業しているっていうのは日常茶飯事のように起こっていて「初廃業」って書かれても「え?」って感じなんです。

 この記事で「初廃業」といっているのは「民泊新法」=住宅宿泊事業法という、安倍政権の肝いりで始まった、宿泊施設に関する究極の規制緩和の法律に基づく施設で、昨年の6月15日から始まった全く新しい法体系の宿泊施設のこと。

 最大の特徴は、旅館業法で必要だった「許可」がなくても「届け出」だけで開業できる点。ただ、営業日数に180日という制限があるので、本格的にビジネスとして宿泊施設を開業したい人にとっては、ちゃんと旅館業法の許可をとって開業したほうが良いのではないかということで、全国的には、12,858施設が開業しているものの、京都市内では386施設しか開業していない(2018年12月14日現在)

http://www.mlit.go.jp/common/001266430.pdf

 

 これは、大手・民泊仲介サイトのairbnbに登録されている、京都市内の民泊施設数と比べると、意外なほど少ない。(詳細は不明だが、おそらく5000件以上の登録がある)

 一方で「許可」が必要な、旅館業法の施設である「簡易宿所」が、2014年の460施設から、短期間に2797施設(2018年11月)と、毎月50~100施設増のペースで増えていて、いま、京都市内のあちこちで増えまくっているいわゆる「民泊」は、この「簡易宿所」がその本命、そして次点は無許可営業をするいわゆる「ヤミ民泊」なのだ。

 で、最近よく聞く「あそこの民泊、なんか営業やめちゃったみたい」というのは、「ヤミ民泊」が摘発されて廃業に追い込まれたか、「簡易宿所」が営業不振で廃業になったかのどちらかだったりします。

 ということで、今日はここまでにしておきますが、京都市内の宿泊施設の建設ラッシュは「異常」です。東山区の街中を歩いていると、それはもうあちこちで新規開業した「民泊」が目に付き、それはもう「まち壊し」の様相です。外国人観光客数の激増は、あきらかに東山区の住民に「生活しづらさ」「住みにくさ」となって襲いかかっており、オーバーツーリズム=観光公害と言うべき事態です。

 あまりの混雑ぶりに、観光客の満足度も下がっており、いずれ過当競争からの淘汰・廃業がすすむことになるのは目に見えてます。住民・旅行客・宿泊施設業者と、すでに誰も幸せにしない「オーバーツーリズム」。安倍政権が推し進める「観光立国」戦略と、京都市長がすすめる「宿泊施設拡充誘致方針」の破綻は明らかです。

 私はこれにブレーキをかけるのが政治家のつとめだと考えています。