「日本はホワイトカラーの生産性が低い?」それって、労働者の権利が守られてないからでは?

 こんな記事が話題になっていた。

「日本人の生産性」は先進国で19年連続最下位 非効率なホワイトカラーの働き方はどう変わるべきか|うちの会社のスゴい商品をヒットさせる方法 石黒不二代|ダイヤモンド・オンライン

 この人の書いてることは、まったく的外れでしょう。

 そもそも「ホワイトカラーの生産性」をどうやって定義してるのかよくわかりませんが、ごく単純に「会社にもたらした利益」であると想定して、具体的な事例をもとに計算することにします。

 受注をできれば落札した会社に1億円の利益をもたらす「あるプロジェクト」があったとします。そのプロジェクトは内需型で、国内の企業にしか発注できない仕事とします。

 A国には、受注できる会社がそもそも2社しか無く、営業担当者も1人しか配置しません。A国は労働者の権利がしっかり守られていて、1日8時間を超える労働は一切しないどころか、土日完全休み、プラス年間50日の有給休暇&祝日も完全消化が義務付けられています。
 2社しか無いので、プロジェクトの入札も1週間しか選考期間がありません。

 「あるプロジェクト」を落札するのに必要な営業社員の延べ労働時間を計算すると

 2社✕1人✕8時間✕4日=64時間です。

 B国には、受注できる会社が10社あり、営業担当者も各社平均2人は配置します。B国は労働者の権利が守られておらず、残業・休日出勤当たり前、1億の仕事となれば、3週間は1日15時間労働休みなしでこき使います。
 10社もあるので、プロジェクトの入札期間も3週間かけて、各社から提出される分厚い資料をゆっくり目を通さなくてはいけません。

 同じく、営業社員の延べ労働時間を計算すると

 10社✕2人✕15時間✕21日=6300時間です。

 

 おなじ1億の利益を会社にもたらすのに、A国では64時間、B国では6300時間。営業担当者の時間あたりの生産性はA国のほうが約100倍高いということになります。

 言うまでもなく、B国=日本の労働環境の比喩です。

 だいたい、サービス産業が生み出す「付加価値」に対する「価格」は、同じ国内の同業他社との競争によって決まるのであって、国際競争とはほとんど無縁です。
 「すき家」が牛丼を値下げしたところで、外国から「すき家」の牛丼を食べに来る人は増えませんし、外国の牛丼屋が値下げしたところで日本人の客は外国へ逃げることが無いのは誰だってわかります。

 「スマイル・ゼロ円」みたいな、バカげた競争を強いられているから、そして、そういう競争を強いても、労働者からの反撃が少ないから、日本の「ホワイトカラーの生産性」は、下がり続けるんじゃないでしょうか?

 ということで、そういうバカげた過当競争が、ついに未来ある大学生まで犠牲にしている現状を告発し、改善を求める声明を党・中央委員会が発表しましたので、以下ご紹介して締めくくります。 

 ブラックバイトから学生生活を守ろう