読売新聞は安倍首相辞任のシナリオを知っていた?

 どうにも不可解な話。

 安倍首相は辞任の記者会見で

 「本日、小沢党首に党首会談を申し入れ・・・断られてしまったわけであります。」

 と辞任理由を語っている。
 翻って、小沢代表はと言うと

 「総理から、一度も党首会談の呼びかけを受けておりません」

 おいおい、いったいどっちが本当なのかい?
 と思ったら、今朝の朝刊で党首会談について報じたのが1社だけあった。

 読売新聞

民主・小沢氏、安倍首相との党首会談に否定的考え示す

  民主党の小沢代表は11日の記者会見で、インド洋での海上自衛隊の補給活動継続について協議するため、安倍首相が党首会談を呼びかける考えを示していることについて、「政府・与党と野党の折衝はオープンな形を常に心がけるべきだ。国民に見える形でやることが望ましい。国会の論戦で十分できる」と述べ、応じない考えを示した。
 また、海自の補給活動継続のため、政府・与党が11月1日に期限の切れるテロ対策特別措置法に代わる新たな法案の提出を検討していることについて、「米軍の活動に対して自衛隊が支援するのは明白な集団的自衛権の行使だ」と述べ、反対する考えを強調した。
 新法案が参院で否決された場合、与党が衆院で再可決する意向であることについては、「7月の参院選の結果が直近の国民の意思表示だ。見識の問題だが、現実問題として(再可決は)大変難しいだろう」と与党をけん制した。
 これに関連して、安倍首相は11日夜、小沢氏との党首会談について、「ぜひ直接お目にかかって建設的な協議をお願いしたい」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。

 よく読めば、小沢氏が記者の質問に答えて「直接会談はしないよ」と回答したのを受けて、その夜になってから安倍首相が「直接会談したい」と言っているようにしか読めないわけだが、なぜか見出しだけ見ると、安倍首相の申し出を民主・小沢氏が断ったように見える見出しになっている。

 他紙が目をつけなかった、二つの記者会見での別々のやり取りを、今日の辞任会見での辞任理由を先取りする形で見事に報じていた読売新聞
 「安倍首相サイドからのリークもなしに、こういう記事を事前に書けるもんなのかあ」なんて、うがった見方をしてしまった。

 でもって、もうひとつ面白い記事。

 安倍首相辞意:「週刊現代」が「脱税疑惑」追及で取材

 突然辞意を表明した安倍首相については、「週刊現代」が首相自身の政治団体を利用した「脱税疑惑」を追及する取材を進めていた。

 同編集部によると、安倍首相は父晋太郎氏の死亡に伴い、相続した財産を政治団体に寄付。相続税を免れた疑いがあるという。晋太郎氏は91年5月に死亡し、遺産総額は25億円に上るとされていた。編集部は安倍首相サイドに質問状を送付し、12日午後2時が回答期限としており、15日発売号で掲載する予定だったという。

毎日新聞 2007年9月12日 15時00分

 ほんとはこのへんの理由で辞めるんだけど、それじゃあまりにカッコ悪いから、読売新聞と結託して小沢氏の会談拒否を辞任理由にするために、アシスト記事を今朝の朝刊に書いておいてもらったってことじゃないのかなぁ。
 などと、思った次第。

 で、そういう1社だけを優遇するような政治家を、記者クラブ制度のもとで横並び記事を書いている大手マスコミはたいてい嫌う。
 ほんとは、イロイロと内部情報をオフレコで流して記者と懇意にしつつ、他社を出し抜かないように釘をさしながらコントロールするっていうのが政治家のマスコミ操作術なんだけど、安倍さんはそういうマスコミ操作が苦手だったんじゃないかなあ等と前々から感じていたけど、こうもあからさまだと、他社は怒るわネエ。
 「なんだよ!読売と産経ばっかり!!」って感じで。

 まあ、真相は分かりませんがネwww

 ということで、次の首相が誰になろうが、解散総選挙に追い込むべくガンバリまっしょい!