カール・マルクスが語るグーグル像―web2.0についてマルクスさんに聞いて見た・・・その9

その9:「カール・マルクスが語るグーグル像
*以下の文書はその8の続きです

目次:
第1回「マルクスさんにインタビューしてみよう」・・・記念すべき第1回、ネタフリのみ
第2回「そもそもマルクス経済学って?」・・労働価値説から剰余価値まで
第3回「そもそもマルクス経済学って?」・・・剰余価値から利潤率
第4回「自己増殖する資本」・・・資本の回転。利潤増大のさまざまな手法
第5回「ネット企業が『生産』する『商品』は何か?」・・・生産的労働と不生産的労働
第6回 「『情報』は『商品』か?」・・・労働価値説ふたたび
第7回 「IT企業の労働者は生産的労働者?」・・・IT企業が創る「商品」は何か?
第8回 「Googleの株価はバブル?」・・・グーグルが創る「商品」は何か?

*連載も第9回めに突入。マルクスさんがもし今日のGoogle像を語ったら、こんな感じではないかなと・・・

 

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 それではマルクスさん、そろそろ本格的にWeb2.0について語っていただきたいわけですけど、まず、 現在のインターネット業界で我々にさまざまなサービスを提供している事業者は、一体全体何がしたいのでしょう?どんな「商品」 を生産して、どうやって「利潤」をあげようとしているのでしょう?
 その7でもふれましたが、 インターネット・サービス会社が「生産」している「商品」は、極論すれば 「サーバー上に蓄積されたデータベース」です。
 各事業者は、それぞれのデータベースの質と量をいかに向上させるかに、しのぎを削る競争を行っているのです。
 なんと!データベース構築合戦ですか!
 そして「質・量ともに充実したデータベース」は「コネクションをいっぱい持った営業社員」 「流行に敏感で、椀のいい新聞記者兼編集者」「ターゲットをバッチリ絞り込むことのできる広告代理店の社員」 等々の労働を肩代わりしてくれます。そこから利潤をあげるのです。
 これが、現在のweb2. 0と呼ばれる時代にインターネット業界で起きている出来事のほとんどすべてではないでしょうか。
 

 なるほど?
 そういうふうにとらえると何となく「資本論」の延長に位置づけられそうですね。

 そうですね「機械によって人間の労働を置き換える」=機械化が進んでいくことは、 私が生きた時代の資本主義社会にも見られた特徴でしたから。

 別に、資本主義社会に対して何か本質的な変化を興すようなしろもんじゃないと。

 そういうこと。
 ところで、Googleをはじめとする、web2.0と呼ばれる企業のすごいところは、このデータベースの構築作業=「価値」 を生産する「労働」を、利用者によるクリックの軌跡をサーバーがすべて監視することで、 利用者に知らず知らずのうちに肩代わりさせているところです。
 それってどういうことですか?

 つまり検索サイト利用者がおこなう検索行為そのものが、 サーバーのデータを充実させたり検索精度を高めることにつながるのです。

 具体的に教えてください。
  例えば、私がインターネット上には確かに存在するんだけど、 一度も検索されたことのない単語をグーグルで検索にかけたとします。仮に「ひろむ○○」としましょうか。
 うんうん。
 初めて検索される単語はさすがのグーグルさんもすぐには検索結果を返せないわけです。ところが、 一度検索されることでその「ひろむ○○」という単語が「検索キーワード」のデータベースに格納されます。そして、 グーグルボットと呼ばれる自動巡回プログラムがかき集めた20億ページとも呼ばれるすべてのwebページの中から「ひろむ○○」 という単語を含むWebページを探し出してそのURLにタグを付けてやります。
 そして同じ単語が2回目に検索されたときには、タグ付けされたページが無事一覧表示されることになります。

 なるほど、、、

 検索をしたユーザーは、一覧表示された中からタイトルと概要を見て、目的とするページをクリックします。 クリックされたページは一覧表の中で1番上に表示されているとは限らない、5番目かもしれないし10番目かもしれない。
 グーグルはその「ひろむ○○」と言う単語で検索をかけた人が、一覧表のどのページをクリックしたかも記録に残します。 そして、その記録を元に、一覧表の順位を入れ替える作業を行います。
 同じ単語が何10回とクリックされることで「他の人は『ひろむ○○』って単語を検索かけたときに、 このページを表示することが多かったんだけど、あんたもどうせこのページが見たいんでしょ?」 とばかりに上位に表示してくれるってわけ。
 こんな風に、人間の情報リテラシー能力をもデータベースに取り込むことで、データベースの性能を向上させるところが、 グーグルのすごいところなわけです。

 データベースの質を向上させるという「労働」 を利用者に意識させない形で肩代わりさせている!と、こういうわけですね。

 そういうこと。現時点でその「労働」がグーグルにもたらす「価値」はワンクリック12セント。
  くー!なんかこれからは検索するたんびに悔しい思いをするハメになりそう・・・

 もちろん、この12セントの中には、グーグルの社員=「5000人の超・優秀なエンジニア」 による天才的なプログラムを書くのに費やされた労働時間分の価値が含まれるから、 その分は割り引かなくちゃいけないわけだけど。

 そりゃそうですけど、、、
 それにしても、グーグルの生産する「商品」の「価値」は、結局「データベース」という「商品」の「価値」 と言うことですよね?
 その「価値」の増大を、インターネット上にデータをアップロードするすべてのユーザーの行う「労働」によって、 肩代わりさせる仕組みを創っているということになるじゃないですか。

 そういうこと。それこそがweb2.0時代に起きている新しい変化と呼べるかもしれないと。
 グーグルは企業理念で「地球上のあらゆる情報を整理し尽くす」とうたっていますよね?
 つまりグーグルはこう言いたいわけです。
 「おまえらがハードディスク上に持っているあらゆる情報を、 インターネット上にアップし続けるんだ!そう、休むことなくすべてをアップロードし続けろ!そうすれば、 この偉大なるグーグル様がその情報を整理し尽くして、その情報に価値を見いだすかもしれない誰かのために、 見つけやすい形で格納してやる!過去の書籍も、最新の新聞記事も、家庭用ビデオで撮影されたくだらないムービーも、 すべての情報に、分かりやすいタグ付けと、被リンク数によるランク付けで、利用しやすく整理し尽くしてやる! それからなあ、日記帳も、スケジュール帳も、メール送受信データも、顧客名簿や住所録、顧客地図帳も、 これからはハードディスクに保存する時代じゃねーぞ!全部ネットの向こうのサーバー上に保存するんだ!はぁ? プライバシーだ?そんなもん関係ネーよ、だいいち俺様はコンピューター上の自動プログラムだぞ! 別に恥ずかしがることはひとつも無いからな!それよりもどうだ!使ってみたか?ほら見ろ便利だろうが!! そうやっておれ様のデータベースの充実のためにおまえらの「労働」を無償で提供し続けるんだ!」
 ちなみにこの文書は最近ハテナブックマークで人気エントリーに入ったこのリンク先の文書を読んで、 ヒントを得たんだけどね。
 これを読んで 「Googleニュース」  「Googleブック」  「Googleビデオ」  「Googleカレンダー」  「Googleメール」  「Googleマップ」 等のサービスのことを指しているということがピンと来るような人は、 すでにGoogleのための無償労働をかなり提供させられているんだろうね。
 なんか、その扇情的な書き方って「資本論」 に雰囲気がそっくりですねwww
 まあ、そういうこと。そろそろ時間ですから、続きは次回と言うことで。
 ということで、このブログの読者の皆さんも、 よかったら買って読んでみてください→資本論

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 さりげなく、自分の本にアフィリエイト・ リンク張らないでくださいよwww

 


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